Invoice(インボイス)の書き方についてサンプル画像を用いて解説します。Invoiceとは請求書のことで、外国との取引や輸出入の手続きに使われます。
「誰が」「誰に」「どのような取引条件で」「何を」「いくつ、いくらで」売るのかを詳しく記載します。
目次:
書類サンプルを確認
書類に決まったフォーマットはありませんので、必要なことを記載してさえいれば形式は問われません。
まずは、どんなものか書類のサンプルを見てみます。後から詳しく解説していきます。
アップでどうぞ。
記載項目の一覧
Invoiceに記載する項目について一覧にしました。後から解説いたします。
*Letter head レターヘッド=売り主情報(社名、住所、連絡先、あればロゴ)
*Invoice to 買い主(社名、住所、連絡先)
*Nortify Party 着荷の通知先(買い主と同じことが多い)
*Invoice No. 書類番号
*Date 日付
*Departure 発地
*Arrival 着地
*Vessel 船舶名 Voy no.
*ETD Estimated delviery date 出発予定日
*ETA Estimated arrival date 到着予定日
*PO# 注文番号
*Description of Goods 内容品
*Unit price 単価
*Amount 合計金額
*Currency 取引通貨
*Payment terms 支払い条件
*Trade terms 貿易取引条件(インコタームズ)
*Bank information 送金先銀行情報
*Country of origin 原産国
*Signature 署名
書類の形式は定められていませんが、おおむね以上のような項目を網羅しておくと良いです。
項目別の解説
項目別に詳しく解説します。
Invoice No. 書類番号
書類を区別する番号です。書類番号が重複することはありません。
会社のルールに従いますが、参考までにどんな風に番号を割り当てるか例を紹介します。
A19060001 → AはAiueo Corpの頭文字、1906は出荷月、0001はインボイス番号の連番で9999まで発行できます。
あるいは、単純に日付でA19060901というのもアリです。末尾01はその日に発行したインボイス番号の連番です。
Description of Goods 内容品
貨物の中身を記載します。
貨物の一般名称と商品名を併記することをおすすめします。
多くの場合、商品名や型番を記載するだけでは第三者はその貨物が何であるか判別することはできません。このため、通関手続きが滞ってしまう恐れがあります。
Invoice記載例:Skin care cosmetics, Moisture gel : Beauty max mochimochi
上記のように記載すると、第三者にとっても客先にとっても商品を区別することができて、わかりやすくなります。
【一般名称】Skin care cosmetics, Moisture gel
【商品名】Beaty max mochimochi
例えばですが、商品名である「Beauty max mochimochi」という表記を読んで、これが保湿ジェルだと確実に理解できますか?
ほぼ間違いなく、フォワーダーさんから「これってなんですか?」と聞かれるのが目に見えています。
仕事が(手続きが)進まないので、このような表記は避けましょう。
Payment terms 支払い条件
多くの場合、電信送金(Telegraphic Transfer)で支払われますのでInvoiceには略称の「T/T」と記載されることが多いです。
[書き方の例]
前払い:T/T in Advance
30日以内(出荷後):T/T Net 30 Days
半金残金:T/T 50% in Advance, 50% After Shipment
T/Tの他にL/Cという支払い方法があります。
L/Cとは信用状(Letter of Credit) のことで、ざっくり言うと銀行の協力を得て(=手数料を支払って)、客先から確実に代金を回収するための決済方法です。売る側の「代金が回収できない」リスク、買う側の「商品をもらえない」リスクも、いずれも回避する目的があります。
Trade terms 貿易取引条件(インコタームズ)
取引条件を示すもので、主にアルファベット3文字で表記されます。
具体的には貨物の引き渡しをどこで行うか、輸送中の危険負担はどこからどこまでか、関税はどちらが支払うか、といったことを明確にするものです。貿易を円滑に行うために世界共通の理解で運用されています。
サンプルのInvoiceは FOB Japan となっています。
Free on Board Japan = 日本側で船に乗せたところで貨物の費用負担・危険負担が売主の手元から離れる、という意味になります。
買う側は、輸送費、海上貨物保険料および輸入諸経費を負担します。
Bank information 送金先銀行情報
商品代金の振込先口座の情報を記載します。
銀行口座情報について、あらかじめ契約で取り交わされている場合等は省略されることが多いと思います。Invoiceに記載する会社もあれば、記載しないこともあります。
銀行口座情報について補足説明です。
海外送金の手続きでは、英語表記の銀行名と口座番号のみでは情報が不十分です。
世界中の銀行にはそれぞれ割り振られたコードがあり(Swift code)、更に支店毎にもコードが割り振られています。このコードを正確に伝える必要があります。コードがないと海外送金の手続きを正しく行うことが難しくなります。
Country of origin 原産国
必ず明記します。
Made in JapanでもCountry of origin: Japanでも大丈夫です。
Signature 署名
基本的には担当者のものではなく上司(責任者)がサインします。
海外の企業が発行する書類は、直筆ではなく電子データのサインが使われていることが多いです。会社の方針次第となります。
客先に対して発行する大事な取引書類ですので、中小企業では責任者がサインすることが多いかなと思います。担当者レベルで勝手に発行したり破棄するものではない、というふうに私は理解しています。
通関時の書類形式として必須というわけではありません。あくまで会社の正式な書類としてサインをしているだけですので、通関自体はサイン欄そのものがなくても問題になったことはないです。
レターヘッド
補足までですが、レターヘッドは社名情報を入力するだけで問題ありません。サンプルは格好よくするためにロゴも入れていますが、あれば格好良いという程度なので必須ではありません。
下記はパッキングリストですが、ロゴなしのレターヘッドの参考画像です。社名・住所をセンタリングしているだけです。
1ページに書ききれない場合
物品数が多く1ページに収まらない場合は、2ページ以上になって構いません。詳しくは下記記事をご参考になさってください。