aoko's blog

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0円のモノは存在しない!無償サンプルの送り方

 

一般的にサンプルの提供には無償・有償と2パターンあります。外国へ無償サンプルを送るときに注意することを紹介します。

 

EMSやクーリエサービスを利用して外国へサンプルを送る場合、それが無償か有償に関わらず必ずInvoiceと送り状(B/L)を添付します。「無償」というのは支払いが発生しない取引のことです。Invoiceへ記載するサンプルの価格を「¥0」と記載するのは正しいでしょうか?

 

答えはNoです。「¥0」や「USD 0.00」と記載するのはNGです。

Invoiceの役割は請求書と同時に税関への申告書類でもあります。税関へはそのモノの「価値」を申告します。無償サンプルであっても、「本来ならいくらの値がつくのか」という観点で価格を申告するのです。たとえばカタログ1部を無償で提供する場合ではも、そのカタログの製作には、素材である紙の調達、デザイン費、印刷、納品に関わるコスト等の費用がかかっています。販売する場合はそれに利益も乗せられるでしょう。それがモノの価値です。このように考えるとこの世に無価値=無償のモノは存在しないのです。

ですから税関への申告を「0.00」で行ってはならず、適正な価格=価値をInvoiceに記載する必要があるのです。

 

取引の観点から見ると、支払いが発生しない無償サンプルについて請求書を発行してしまうとおかしなことになってしまいます。この食い違いを回避する方法があります。

 

1.Invoiceに無償サンプルであることを明記する。

例:

No Commercial Value や N.C.V.

Value for Customs Clearance Purpose Only

Not for Sale

商品が無償品であること、価格は税関申告のためのもの、ということを記載することでこの請求書に支払いが生じないことがわかります。送り状(B/L)の物品欄にも一言書いておくと良いです。輸入側の通関でもスムーズになることがあります。

 

2.出荷用インボイスを用意する。

タイトルは「Proforma Invoice」または「Delivery Invoice」とし適正価格&無償サンプルの旨を明記します。一方で、正式な「Invoice」には「¥0円」で記載し、メールで客先へ送ります。

お客さんによっては、このように2つの書類を要求してくることがあります。こうすると相手側の経理がわかりようです。また、シッパー側の経理上の処理もやりやすい場合があります。

 

実際の書類フォーマットを見てみましょう。

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詳しく確認しましょう。

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しつこく「無償品」と書いています。お客さんの要望にもよりますがこのように入念に書いてくれと頼んでくる人もいます。

 

取引条件についての記載ですが、EMSで送る場合は発送時に料金を支払い、税金が生じれば輸入者に請求されますので。

取引条件は「EX Works」か「FCA」が良さそうです。FCAはFree Carrier運送人渡しです。

よく見かけるFOBは厳密には海上輸送の時に使うもので船上で引き渡すものです。私はフォーマットを変更しないので海上輸送もサンプル発送もFOBを使い続けています・・・

せっかくなのでより正しい方を使っていただくのが良いかと思うのでFCAやEX Worksを書きました。

 

このFCAFOBといった単語はインコタームズとよばれ世界共通理解の貿易取引条件のことです。運賃や輸送費等のコストを、シッパーとコンサイニーがどのように負担するかを明確に示します。

 

単価に輸送費が含まれているのか、そうでないのかが分かれば良いです。実際の取引では正しく書きますが、サンプルの発送に関しては神経質にならなくて良いと思います。

客先アカウントのクーリエで送る場合は、全費用客先負担ですのでEX Worksと書くのが適当かと思います。

 

無償品なので細かく気にしなくてもいいと思いますが、会社のルールや慣例に従ってもらえればと思います。私が担当するとこの辺が大ざっぱになってしまいます。

 

*経験ベースの記事ですのであくまでご参考となります。

2019.7.2更新

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