金型製作費は成形品の価値を構成するものとして輸入申告が必要です。
輸入申告においては、その製品の”価値”を申告することを下記の記事で解説しました。
成形品の価値を構成するもの
成形品の「価値」の構成は、原材料、輸送費、梱包費といった費用に加えて成形品を造るために用意する金型費用も加味されます。
今回書いていますのは、製品単価と金型製作費が分かれる場合の輸入申告についてです。
輸入時のInvoiceに製品単価のみ記載している場合、金型製作費の申告が漏れることになります。別途、必ず金型製作費を記載する必要があります。
金型製作費をinvoiceに記載しない場合、下記のように支払い金額よりも輸入申告額が低い状態です。
支払い金額:製品10,000,000円+金型1,500,000円
輸入申告額:製品10,000,000円
輸入申告額が低いというのは、何を意味すると思いますか?
輸入時の納税金額は輸入申告額に基づいて算出されます。当然ですが、輸入申告額が低ければ納税額も低くなります。つまり、嘘の申告により納税額を少なく払ったことになりますので、紛れもない脱税なのです。
申告漏れに後から気づいて自ら修正申告した場合は納付延滞による加算と、指摘を受けてから修正する場合には更にペナルティもあります。申告漏れは悪意がなくとも脱税の事実に変わりありません。そのことに十分留意して必ず漏れなく申告が必要です。
書類サンプル
Invoiceの内容品欄のサンプルを見てみましょう。
上記のようにTooling costとしてInvoiceに記載する方法があります。
注意していただきたいのは数量の欄はブランクにしておくべきということです。赤枠に注意書きがあるように製品合計数が合わなくなってしまうからです。
この事例ではPacking Listの合計数量は1,000pcsと記載されます。
仮にInvoice上で金型費用について数量「1」と記入すると、Invoiceの合計数量は1,001pcsとなってしまい、Packing List と Invoiceが一致しない状態が生じます。
このような不一致は、申告するにあたってフォワーダーさんより指摘を受けることになり余分な時間と手間がかかってしまいます。あらかじめInvoiceとPacking Listの合計数量を一致させるようにしましょう。
余談ですが、自社用に金型を起こしたオリジナル品ではなく、メーカーの標準品である場合はこのような金型製作費の申告は考えなくて良いと思います。
多くの客先に対して標準品として納入されるものですから、単独で1つの会社に対して金型費の請求が生じることは一般的に起こりにくいことです。考え方としては、製品単価の中に金型のコストが含まれているということです。